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物語を共有する

昨日は距離について考えてみました。

人は身近なものを好みやすいという話です。

もうひとつ、人が好むものに含まれている大きな要素。

それは“物語”です。

昨日も例に挙げましたが、“あるプロ野球チームが何故好きか?”

「なんとなく地元に近いからいつの間にか好きになっていた」という理由は、距離の視点で考えた一つの答えです。

一方ほかの理由、「好きな選手や監督がいるから」とか「強いから」「弱いから(逆に応援したくなる)」という理由は、物語の視点で捉えることができます。

例えば、イチロー選手が好きな方は、単に彼の技術力の高さや、足の速さだけを好きなわけではなく、今日までの活躍という“物語”を共有しています。

強いチームや、弱いチームを応援したくなるのも、それまでの物語を知っていて、それに共感できるから好きなのです。

AKB48が大人気な理由は、“身近な存在”のほかに、この“物語の共有”があるからです。

『何も加工されていない生の人間の、人並みはずれた成長を見せる』というインナーコンセプトを前田敦子が一番よく表現している。

だからセンターで大正解だったのです。

ところで話は変わりますが、『スラムダンク』はお好きでしょうか?

私は残念ながら一度も読んだことがないのですが、根強いファンがたくさんいることを知りました。

単行本で31巻、6年の月日を費やして描いた傑作バスケットボール漫画です。

連載が終わって8年も経過した2004年7月に累計一億冊に達しました。

そのことをきっかけに著者の井上雄彦さんは、「読者のみんなにありがとうという気持ちを伝えたい」という想いが湧き上がり、個人広告を思い立ちます。

広告会社の企画プランナーと井上さんを含めた9名は、読者にどうやって「ありがとう」を伝えるのかを真剣に考えました。

スラムダンク読者が一番喜ぶことは何か?

すでに連載を終了していたスラムダンクの世界に井上さんがスラムダンク作者として戻り、スラムダンクのその後を描くこと・・・

そして、スラムダンクを愛している人達だけが集まれる場を作ることを思いたちます。

ここでのポイントはコミュニケーションのターゲットを「スラムダンクを愛する読者」に限定したことです。

■新聞広告がはじまり

新聞各6誌、片面ページすべてを使った、井上さん直筆の「湘北メンバー」が描かれたスラムダンク新聞広告そして控えめなホームページのURL

ここが「スラムダンクを愛する読者」を誘う次へのアプローチです。

スラムダンクに興味が無い人には全く意味がわからないでしょう。

■読者の声が集まるホームページ

井上さんは読者が集まれる場所をWEB上に作ります。

ただ、このWEBサイトも普通のサイトみたいに訪れた人たちを導くようなサイトではなく、いきなりメッセージを求めてきます。

スラムダンクの試合会場を見る為のチケットみたいなもので、書き込みが終わると「書き込んだ本人」が観覧席に登場する仕組みになっています。

自分のコメントも見られるし、自分と同じような他のファンのメッセージも見られます。

観客になり主人公たちを応援できるファンにはたまらない疑似体験ができるサイトになっています。

そして、最後に「本当にファンが集う場」をサイトで予告編のようにさりげなく告知します。

■廃校の黒板を使った伝説のイベント

ここが1億冊感謝「読者の方にありがとうの気持ちを伝えたい」のゴールです。

この時のスラムダンクの多くの読者が、社会人に成長しているということもあり、スラムダンクで表現されていた「学校」の匂いも伝えたいということで廃校の黒板を使い、掲載終了後の主人公を描きました。

井上さんがスラムダンクの作者に戻り、読者がスラムダンクの読者に戻れる場所が出来上がりました。

当初は100人ぐらい集まればいいだろう位の予想だったところ、二日間でなんと約5,000人が集まりました。

1億冊感謝キャンペーンは大成功を収めたのです。

この例でも、物語の共有はとても大切なことを教えてくれます。

距離感。そして、物語の共有。

この2つが“いい会社”を作る大切なヒントであると考えています。
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テーマ : 伝えたい事
ジャンル : ブログ

プロフィール

gaku+

Author:gaku+
ニックネーム GAKU(本名:まなぶ)
1974年生まれ B型 水瓶座
平成6年から都内の某放送通信系企業に就職
技術・営業・企画と携わり現在に至る

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