あとから考えれば、未然に防げたと思うような出来事でも、なぜ防げなかったのかということが多々起こります。
“想定外”の大震災を別にしても、金融機関の不良債権問題をはじめとして、企業の不祥事や大規模な事故・障害の発生、食の安全に関わる問題の多発や感染症の流行など多岐に渡ります。
リスク管理の重要性が叫ばれている今日においても、リスクを感じさせる事象は止まることなく繰り返されます。
ではなぜ、過ちは繰り返されてしまうのでしょうか?
そこは根本的な人間の心理に大きく関わっているように思います。
重大な事故や事件が起きることは、めったにありません。
その“めったにない”ことに、普段から意識して対策に取り組むことができるかということです。
たとえば、明日死ぬかもしれないということを考えながら生きている人はほとんどいないでしょう。
しかし、いつかは病気で倒れるかもしれないということを想定して保険に入る人は多いわけです。
つまり、どこまで想定するかという程度の問題が関わっています。
イメージできないことに対し、人は無視してしまうという傾向があります。
それは、非常に小さな確率とも思えるネガティブなことほど、それにエネルギーを割きたくないという心理が働くからとも言い換えられます。
しかし、もし次のように提示されたらどう考えるでしょうか?
「サイコロ6個を毎日投げて、もし全てゾロ目が出たら明日死ぬ。しかし、保険として1回につき100円払えば回避できる。」
この問いに、一瞬でバカバカしいから払わないという勇気のある人はどれくらいいるでしょうか。
恐らく、少しは考えるに違いありません。
ちなみにサイコロ6個が全てゾロ目になる確率は(1/6)の6乗×6です。
7776回に1回という確率です。
寿命を80年とすると、80×365=29200日ですから、寿命を迎えるよりも先にサイコロが6個ゾロ目になる確率の方が圧倒的に高いのです。
ここでいいたいことは、明日死ぬかもしれないと考えて生きている人は少なくても、具体的に自分のリスクとして提示された場合は、真剣に考えるということです。
ですから、リスクマネジメントを考える際に、具体的に自分のリスクとして考えられるかどうかが問われるポイントになるでしょう。
ちなみに、ジャンボ宝くじの1等当選確率は、1000万分の1です。(1ユニットが1000万枚)
確率がいかに低くても、プラスになることに関しては、人は興味を持つ。
これも合わせて覚えておくことも、リスクというものをどう捉えるべきかの重要なヒントとなるでしょう。
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